心のつぶやき
  • No.08PTSDにならないために
No.08 PTSDにならないために

 3月11日午後2時46分。私はある中学校の相談室にいました。
ゴゴゴゴゴーッと音がしたので、2階で中学生たちが騒いでいるのかと思っていました。
すぐその後で移動中にカーラジオで東北地方で大地震が起きたと聴きました。

仕事を終えて家に帰ってテレビをつけると、信じられない映像が流れていました。
津波で街の家並みが押し潰されて、黒い波は勢いを緩めることなくいろんなものを呑みこんでいきました。
道路を走っている車も呑みこまれていきます。
空から撮った映像なので音は聞こえませんでしたけれど、それは凄まじいものだったに違いありません。

 翌日の土曜日、朝からずっとテレビを見ていました。 東北地方太平洋沿岸の広い範囲で津波の被害が起きていました。 去年の秋に仙台を訪れ、松島や石巻の街を歩き回っていました。 あの街あの商店街も津波に呑みこまれてしまったのかと想像もできないまま黒い塊になった恐怖におののくばかりです。 日曜日も一日テレビを見続け、被災された人たちの気持ちを思っては胸がふさがり、何もできない自分の無力さを感じるばかりです。

 年度末のスクールカウンセラー業務は何故か難しい事例が重なって、例年苦しい思いをすることが多くストレスフルになります。 それにこの地震が重なって、自分自身の心も揺れに揺れ続けます。 連日の新聞報道、テレビのニュースを見ては涙を流し、無力感にさいなまれ続けます。 春分の日を含む三連休は寝込んでしまい、ほぼ何もできなくなりました。

 これではいけないと思うのですが、頭は回らないし、身体も動けません。
とにかく外に出ようと本屋さんに行きました。前から買いたいと思っていた「男はつらいよ 寅さんDVDマガジン」が目に飛び込んできました。 第1作は何回か見たことはあったのですが、何故か元気な寅さんに会いたくなりました。 そして久々に見ました。泣いて笑って、涙か鼻水かわからないものをテッシュで何回もぬぐいました。 見終わったら、寅さんに励まされて少し元気になっていました。
それからしばらくして、「金八先生の最終回」をテレビで見ました。 その最後の方で、金八先生の卒業生の同窓会みたいなものがあり、卒業したての中学生から、32年遡ってもうおじさんおばさんに、お母さんお父さんになっている卒業生の姿を見ました。 何か救われたような気持ちになりました。時がたてば、幼く頼りない中学生も大人になり親になっていくのだと、当たり前のことを映像で改めて見せてもらいました。

未曾有の大災害に逢ってどん底に突き落とされたとしても、当たり前が当たり前でなくなったとしても、生きている限り、人々はサポートを受けながらでも悲しみを乗り越えて、立ち直り復興を遂げていくのだと、金八先生の卒業生たち、おじさんおばさんたちが、生きている表情だけで教えてくれたように思いました。
自分も直接的には何もできなくても、自分のできることを通して、日本の片隅で微力ながら日本を支える支え手になればいいんだと思いました。

このページのトップへ